2023/09/09-10
三国川 黒又沢滝上沢左俣 CO1005 左沢 遡行 御神楽沢下降
メンバー; HG(記) , KW
0700十字峡駐車場入山 – 0800 本谷鉄橋下 – 0850 檜倉沢出合 – 1030 右滝上沢左滝上沢の二俣 -1050 3段 120m 大滝 上 – 1300 2段80m滝上
– 1325 Co1020二俣 - 1415 Co1160 上部二俣 – 1445 50m垂直涸棚 – 1700 1585峰 – 1715 五竜岳池テント場 泊
0508 BP発 – 0750 五竜大神池 下降点 – 1030 スラブ滝連瀑帯 ‐ 1215 御神楽沢出合(下降終了)‐1315 十字峡駐車場下山
今年は寡雪の為、雪渓の下の未知を求めて幾つかの沢を狙っていた。この沢もそんな一本で、登山大系では出合の大滝が埋まっている時に登った記録があるが他には記録は見当たらないので、調査溯行することに。
航空写真をみると左俣の一部にも例年だと遅くまで雪渓がのこりそうだ。
通いなれた越後の谷であるが、黒又沢流域に関しては蛇沢スラブしか行っていない為、本流を日向沢出合より奥に行くのは初めてで非常に楽しみだ。
最初の堰堤とバックウォーターを左岸の踏みあとからまき入渓。すぐに日向沢出合、続いて本谷にかかる鉱山軌道の鉄橋を潜ると右側壁からの豪快な岩清水滝の飛沫を浴びる。
五竜沢出合を過ぎると谷は狭まりゴルジュ風に。最初の大きな釜で釣り師に遭遇。ここまでで引き返すとのこと。
この釜の滝は右から小さく巻く。一旦河原になりすぐに30m滝。右からまき気味に登り落ち口へトラバース、ここから完全なゴルジュになり越後の沢らしくなってきた。ただし南面で陽が入るので気持ちは良い。
檜倉沢出合を過ぎると沢の水はぬるくなり読み通りだとほくそ笑む。
なお続くゴルジュ進むと左右滝上沢二俣。目指す左俣は大滝で出合う。予想通り雪渓は全く無い。大系の記載よりは大きくて120mはありそう。
右俣を少し偵察してから戻ってきて大滝にとりつく。下段は垂直に近い傾斜で大高巻きかと思われたが近づいてみると石灰岩質で穴ぼこのガバホールドが豊富で快適にフリーで越える。2段目スラブ状も快適でどんどん高度をあげる。
3段目は深い釜を右からへつり右凹角のクラックを使って登るが途中からあまい縦ホールド主体になり悪そうなので、登攀中にザックを釜に投げて空荷で登り滝上へ抜ける。
荷物ありならザイルを出した方がいいだろう。
W氏がザイルを担いでいたので、彼のザックも荷揚げする為にハンマー投げで下からロープ受け渡しを試みるが全然届かなかったので同じように確保なしで空荷でザイルを引いて登り2個荷揚げする。
直ぐ上で明るいスラブ滝。越後らしい側壁にスラブを伴った大きなもので下段60m以上ありそう。水流右を快適にフリーで直登。途中で古い残置ハーケンを一本見かけた。
上段は傾斜が一気にきつくなり右のリッジから灌木帯へ入り滝頭へぬける。
ここまでは豪快な渓相の中快適な登攀が続き笑顔が絶えないかんじだ。
この上も見事なゴルジュが続くがゴーロが詰まった見かけ倒しの所謂ゴロジュだ。淡々とこなしていると二俣をすぎてしまった。どうやら側壁で出合い、Co1040 出合付近がゴーロで埋まって伏流になっているので全然気付かなかった。
少し戻り左俣へ。最近の渇水のせいもあるのか一気に水量がすくなくなる。ゴルジュ地形だが側壁は高くない。雪国の沢のツメによくある感じで既に源頭の様相。
上部二俣状で右に入り垂直に近い見事な枯棚。ザイルを出して頑張れば登れそうだが水流がなく登攀意欲がわかないので右からまき気味に登り滝上で沢形に合流すると藪っぽい源流域。最後は1585峰に続く枝尾根に乗り藪こぎ20分くらいで登山道にでた。想像したよりはかなり手入れされている登山道だ。それもそのはず五竜岳山頂の幕営ポイントで先に幕を張っていたおっちゃんが草刈りをしたばかりだったのだ。
こんなマイナー登山道を整備してくれているとはなんと有難い。こういう方がいるから我々沢屋は週末の2日間だけで山奥に入っていけるわけだ。感謝の念を伝えて我々は山頂の一段下にある池でツエルトを張る。
八海山に沈む夕日にウィスキーで乾杯。
翌朝は良い天気でご来光を拝んでから阿寺山方面へむけて出発、登山道を歩く。ところどころで池塘があり水面に映る青空が爽やかだ。
御神楽沢源頭の「五龍王大神」の石碑のある池塘から下降開始。続く猛暑と雨不足の為、下降行程の上半分では水は流れていないとの見立てで多めに水を汲んでいたが足りるかどうか怪しい暑さだ。
共同装備として2mm厚のウェットスーツ(ジャケットだけ)を持ってきたがこのまま出番なしで終わってしまいそうだ。
どんどん高度を下げられ、下降の沢としてはナイスだ。
途中で正面に檜倉沢核心部が望めるポイントがあり見入ってしまう。
1カ月後に調査遡行予定だが、雪渓はそれまでに融けているだろうか。
Co 750m あたりから懸垂下降が必要な大物滝が出てきて、クライムダウン+20mほど懸垂を2回やり、ラスト1回の大物は捨て縄をケチって大高巻で下った。
黒又川本流との出合直前の右岸枝沢でようやく水が得られた。手持ちの水は切れて干乾びそうだった為、がぶ飲みして生き返った。
本流と合流し待望の水風呂(雪渓で冷えていたので体感15℃以下?)を楽しみ十字峡Pには正午過ぎには下山した。
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滝上沢左俣は出合の豪快な大滝を快適に登攀できすこぶる爽快な沢であった。
想像していたよりは悪場は少なく、少々物足りなかったが、好みのエリアの記録の無い沢を遡行できて十分に充実した。
しかし恒例の五十沢温泉湯本旧館で交代浴をしている間も残る大物の姿が脳裏から離れないのであった。
※この原稿を仕上げた前週に金城山へ行ったが、湯本旧館は2023/12月で廃業だと現地で知った。無念。